2025.11.26 | #社内活動
ちょっとエコな取り組み 前編 | 廃材から再生可能エネルギーへ -持続可能なものづくりの現場-
記事を書いた人
S.K / 総務部
はじめに
当社には毎日のように、協力会社様から部品が納入されています。これらの部品は、木箱に格納されて大切に送られてきています。
しかしこの木箱をどのように処理するか。当社では、長年の課題となっていました。
これまでは外部業者に委託して、木箱を解体して運搬してもらっていました。しかし処理費用が発生することに加え、せっかくの木箱を活用できないことはもったいない!
そう思っていたところ、親会社からのご紹介により、新たな取り組みが始まりました。環境負荷の低減とコスト削減を両立するためのプロジェクトです。
ここで登場してきたのが天理集成材株式会社様です。
同社は、従来は廃材として処理していた木くずをバイオマス燃料へ変えることで再生可能エネルギーの普及に貢献しています。
そこで今回は、木材資源の有効活用を手掛ける天理集成材株式会社様にご協力いただき、ご担当の村田様にお話しを聞かせてもらいました。
木材副産物の再利用とバイオマス燃料製造について、現場での取り組みや、企業としてのこだわり、今後の展望などを伺いました。
天理集成材株式会社 小倉工場
所在地:奈良県奈良市針ケ別所町364-1
設立:1979年8月4日
事業内容:集成材の製造販売
エネルギー問題に木くずで貢献する
Q:木くずの有効利用に取り込まれた背景を教えてください。
A:環境問題に対して何か自分たちでできることはないか。そんな思いが、私たちの取り組みの原点でした。近年、原子力発電の再稼働に対する 賛否や、火力発電によるCO2排出量の増加が社会的な議論を呼んでいる中で、持続可能なエネルギーのあり方に強い関心を抱くようになりました。
その中でも、木材を燃料として活用するバイオマス発電に注目しました。石炭など化石燃料と比較して、木材は燃焼時のCO2排出量が少ないという利点があります。 さらに、木材は再生可能な資源であり、植林によって新たな木を育てることで、大気中のCO2を吸収する「カーボンニュートラル」の循環を実現できる可能性があることに注目しました。
Q:現在、リサイクル材はどのような用途で活用されているか、教えていただけますか?
A:当社の工場では、木材加工の過程で発生する木くずを有効活用するため、チップ化を行っています。
チップ化された木くずは、全国各地のバイオマス発電所へと輸送されて、燃料として利用されています。 こうして従来廃棄物として処理されていた木材資源が、再生可能エネルギーの原料として生まれ変わるのです。
なお、木くず等は、認定制度を活用すれば有償での引取も可能です。事業者認定の有無によって供給先の発電所を柔軟に選定しています。 認定発電所向けには、品質管理を徹底したチップを供給し、非認定の発電所には地密着型の供給体制を構築するなど、ニーズに応じた対応を行っています。
更なる企業との連携を
Q:現在、廃材(木材)の回収について、どのような業種からのご依頼を多く受けていらっしゃいますか
A:現在、ご依頼いただいている企業の多くは、木材を取り扱う業者様が中心です。これらの企業様からは、通常業務の中で発生する 再利用が困難な木材や、廃棄予定の端材・残材などを持ち込んでいただくケースが非常に多く見受けられます。
私たちは、そうした木材をただ廃棄するのではなく、可能な限り資源として活用することを目指しています。環境の配慮はもちろんのこと、持続可能な社会の実現に向けて、 企業様と連携しながらリサイクルや再利用の道を模索しています。
Q:御社が今後取り組まれていきたい事業の方向性、展望についてお聞かせいただけますか
A:今後は、更に認知度を上げて多くの方に天理集成材の活動を知って頂きたいです。
私たちのセールスポイントは再生可能エネルギー事業としてSDGsに貢献できることです。そのために1時間あたり10tの木材を処理できる破砕機が 備わっています。
破砕工程としてましては、現状では木材の納品数と照らし合わせ、週に2日(火、金)稼働していますが、今後、更に取引業者を
増やして工場の稼働日数を増やしていきたいと考えています。
破砕工程
一次破砕で一定の大きさに整え釘などは取り除く。二次破砕で細かくチップ化を行う。 稼働時間は、8:00~15:00まで作業を行い、その後保守・メンテナンスを行います。
編集後記
今回の取り組みは、当社にとっても処理費用の削減と環境課題への対応という二つの課題を同時に解決するものであり、非常に意義深いものでした。 その背景には、天理集成材株式会社様のエネルギー問題に対する高い問題意識と、それを解決できるだけの技術力がありました。 弊社でも微力ではありますが、木材資源の有効活用に寄与し、持続可能な社会へ協力していきたいと思います。
